さえずりを録音しよう 

(by "marmot" またの名を"pikaの夫"ともいいます)





 鳥の声はしているのに姿を見つけられない時、考えました。見られないなら、さえずりを楽しめばいいんだと。それで録音を始めました。

 その頃、とっくに「生録」の時代は終わり、録音方法の参考にするべき本もなく(今なら「野鳥を録る」が出ているのにね)、WWWで検索しても録音の方法やPCへの取り込み方、加工法を説明しているページもありませんでした。そこでいろいろ試してみたのですが、なんとかなるものですね。
 「ことりのさえずり」で私(marmot)が行っている、録音、PCへの取り込みと加工作業をまとめてしました。これから録音してみようという方の参考になれば幸いです。


 これが最近使っている録音セットです。
 録音風景

 ご縁があって、「OlympusのLS-10」が録音機材の仲間入りをしました。デザインも持った感じもかなーりお気に入りです *^_^*

 記憶媒体にSDメディアを使い、MP3形式や非圧縮のPCM録音(WAV形式になります)で取り込むことができます。 最近はSDメディアも安く大容量になったのでCD並みの音質での3時間程度の録音を簡単にこなしてくれます。私の持っている世代だけかもしれませんが、録音時のファイルサイズが最大で2GBに制限されているので、CD並みの音質では1回の録音で3時間ちょっとが最長になるようです。長時間録音しっぱなしにして後で音拾いをしたい場合は、R09を使っています。ふつうはそのようなことをしないので、高性能なステレオマイク内蔵のコンパクトな機種であるこれ1台だけで録音を済ましています。
 もちろん外部マイクやヘッドフォンをつけることもできます。
LS-10は、手持ちにちょうどいいサイズで、音もいいので、最近はずっとこればっかりで録音しています。
手持ちではがさがさ音が入るので、録音時はいつもSLIKのミニ三脚に取り付けています。吉祥寺のヨドバシで「小さくってかわいいし、しっかりしてそうでいいかも」と衝動買いした三脚です。お値段もかわいかったし、安定していいです。使ってみて気に入ったのは・・・
  1)液晶表示の字が大きくてみやすい
  2)バックライトがついていて、昼でも夜でもよく見える。これはR-09でも同じです。
  3)操作ボタンが押しやすい
  4)ボタンを押している間だけ現在時刻が表示されるのが楽しい!
  5)三脚に取り付けるねじ穴がついていて便利。ただ三脚穴の奥行きが少し浅いようなので、プラスチックの板にドリルで穴を開けたスペーサを挟んで調節しています。
  6)サイズぴったりの小さい風防が付いている。
  7)軽くて、小さくて、カワイイ

 6)の風防に関しては、付属の風防は以下のものです。でもこれだけでは野外録音では性能が不足気味です。
 付属の風防

 LS-10発売当初は、売っていなかったのですが、いつの間にか純正のふわふあ風防(ジャマー)が売りに出されていました。さっそく購入したところ、風切り音を大幅にカットすることができます。以降、録音の必需品で、つけっぱなしとなっています。
 付属の風防とふわふわ風防

音の編集は、MDを使っていた時とほぼ同じです。ただCD以上のサンプリングレートや量子化のビット数を使う場合には、いくつかのソフトでは対応できないことがあります。その際は、たとえばSoundEngineFreeを使っています。LS-10の付属ソフトは使ったことがないので、使い勝手はわかりません。

現在予備に持っているPCMレコーダは、RolandのR-09です。
 Roland R-09
 このR-09も記憶媒体にSDメディアを使い、MP3形式や非圧縮のPCM録音(WAV形式になります)で取り込むことができます。 最近はSDメディアも安く大容量になったのでCD並みの音質での3時間や4時間の録音を簡単にこなしてくれます。  もちろん外部マイクやヘッドフォンをつけることもできます。現在は外部マイクを付けてマイクから離れた場所でマイクレベルの調節をしながら録音するのに使っています。長時間録音に向いています。
 Roland R-09 フルセット(?)
 R-09での録音時のレベル設定は容易でインジケータも日中の野外でも見やすくなっています。 入力レベルが超過すると警告ランプがつく点や、録音しているときに赤いランプがつくのも使いやすいと思います。 電池は単三型2個で、エネループなどの充電池が使えます。 PCにはUSBで直結することもできますし、SDメディア経由でPCに転送することもできます。
 ルックスはできの悪い髭剃り機のようですが、性能はいいと思います。 ただし裏蓋(?)のつくりは改良の余地が大いにあると思います。 電池交換するときに毎回壊れてしまうのではと、心配になります。

 あと、一般によく使われているICレコーダもあります。 かさばらないので以前は、予備録音セットとして持ち歩いていました。
(pikaの裏の声:えー、これって、もっぱら私の通勤電車内の語学学習用のお道具になってるよ。)
 ICレコーダ ICD SX40
内蔵マイク(ステレオ)もしくは外付けマイクをつないで手軽にステレオ録音することができます。このようなICレコーダはサンプリングレートがあまり高くなく、かつ手動での録音レベル設定ができないので、音質はMDの方が上だと思いました。  外付けマイクとヘッドセットを繋げば録音セットの出来上がりです。
(pikaの裏の声:通勤途中によく見かけるハシブトガラスの給餌風景を録音したくてこのセットをそろえたのですが、実際にはマイクを向けると頭のいいカラスたちはだまってしまいます。なかなかうまくはいかないものです。)
 ICレコーダ SX40での録音セット
やはりICレコーダを手で握りながら録音するとがさがさと雑音がひどいので、外付けマイクを地面に設置して、手元のICレコーダを「録音機」として使っています。通常のICレコーダはPCにUSB接続するように作られているのでPCへの取り込みも楽です。ただし独自のファイル形式で取り込むので、wavファイルに変換してから編集する必要があります。


では最後に、録音する時に心がけることをいくつか。
 ・ ことりが録音者を意識していたり、嫌悪の声を出したら、すぐに去りましょう(オオルリは舌打ちをします)
 ・ くれぐれも、ことりのじゃまにならないように
 ・ 他の人(地元の人や他の鳥見人、通行人など)の邪魔にもならないように

それでは、良い録音を。


 以下は、PCMレコーダを使い始めるまでの録音セットについての文です。一応残しておきますね。
 録音風景

マイク
 最初はモノラルの鋭指向型を使っていましたが、ステレオ録音の魅力には勝てず、最近はステレオマイクばっかり使っています。鋭指向型のガン型モノラルマイクでも単一指向型を組み合わせたステレオマイクでも周りに雑音がある場所では、結局録音に結構なノイズが入ってしまいます。録音時は手持ちにすると、手で握る雑音が大きく入ってしまいますので、なるべくカメラの三脚等につけて地面等に設置します。
 メインのマイクには、SONYのECM999を使っています。
 SONY ECM999
20-20,000Hz対応という優れもののステレオマイクですが約400gありちょっと重くかつ大きく、設置にコンパクトカメラ用の三脚を必要とします。バードウォッチングと録音の両方を同時に楽しむのにはすこ〜し邪魔なので、大抵の録音にはAIWAのCM-DS5を使っていました。
 AIWA CM-DS5
超小型三脚にあう大きさで、50-18,000Hz対応と周波数特性は多少狭くなっていますが、私には十分です。重さは約60gかつ5000円でおつりが来る値段です。これなら録音機材全部がウエストバックに入ってしまいます。
 ウインドジャマー(風防、ウインドスクリーン、スポンジや動物の毛皮でできています)は、なしでマイクを使うとカルマン渦が発生し(本当かな?)風切り音がひどくなるので、野外録音では必需品です(が、プロ用製品は高い)。スポンジのボールに穴を空けて使用しています。おもちゃ売り場で買う物ですが、かわいいので結構気にいっています。
(pikaの裏の声:この緑色のボール、吉祥寺のユザワヤで300円(2個入り、黄色と緑のセット)で買いました。それまでは100円ショップで買った2個100円のものを使っていたのですが、薄汚れてきたので、換えました。)
レコーダ
 MZ-RH10とMZ-R50
 録音にはMDを使っていした。中学高校の頃、友人は鳥の声の録音にカセットテープを使っていました(そういえばマイクに傘を集音器としてつけていましたっけ)。でも、シーケンシャルアクセスのテープ媒体は頭出しが面倒で間違って上書きをしてしまう恐れがあるので、ランダムアクセスのディスク媒体の方が安全、機械もコンパクト、録りだめてもかさばらない、音がよさそうという理由で、録音を始めた際(1998年)にMDを選びました。期待通り十分な音質で録音することができました。写真の右が最初に使ったSONYのSONY MZ-R50で、左が2005年末に購入したSONYのMZ-RH10です。MZ-R50は普通のMDですが、MZ-RH10はHiMDとして録音するのでより高いBit rateで、必要なら非圧縮のPCM録音もできます。録音はHiMDの方がきれいなので、購入後はもっぱらMZ-RH10を使っていました。どちらの機械も内蔵電池だけでなく外付け単3電池を繋いで使えるので、野外録音時に安心です。MDはもはや携帯音楽プレイヤの地位を失いましたが、媒体はコンビニで売っていますし量販店で安く買えるので愛用していました。両方の機械の特徴を独断で以下にまとめてみます。

MZ-R50の特徴
 ・MD録音
 ・74分もしくは80分間の録音(モノラル録音なら2倍)
 ・液晶表示は明るい野外で見やすい(ライトなしなので夜間は見えない)
 ・録音レベル設定がない(マイク感度2段階のみ)
 ・PCに取り込む際にはADコンバータが必要
 ・HiMDを再生することはできない
MZ-RH10の特徴
 ・HiMD録音(MD録音は、不可)
 ・普通のMD媒体で2時間以上録音可(1GBHiMDディスクで約8時間)
 ・普通のMD媒体に非圧縮のPCM録音で28分録音可(1GBHiMDディスクで1時間半)
 ・有機EL表示はきれいだけれど、明るい野外では全然見えない(夜間使用は快適)
 ・録音レベル設定可能(でもちょっと面倒、毎回設定する必要あり)
 ・USB接続でADコンバータを介さずにPCに取り込み可(お勧め)
 ・普通のMD録音はできないが、普通のMDを再生できる。普通のMDを直接PCに転送はできない
70-80円のディスク媒体で約30分PCM録音できるとはなかなかお得ですよね。

録音セット
 さて、マイクとレコーダにモニタとしてのヘッドフォンを加えれば録音セットの出来上がりです。

 録音セット
ヘッドフォンにはSONYのMDR-D22を使っています。野外で装着しやすく、かつ「録音」していることがアピールできるし、折り畳め携帯に便利です。フィールドで「不審者」ではなくて、録音の趣味の人とみなしてもらえるので安全です。バードウォッチャーが双眼鏡をしていると「不審者ではない」とみなしてもらえるのと一緒です。値段が5000円しないのが気に入りました。この写真のセットなら予備電池を入れても5万円でおつりが来ます(^_^)。なおAIWAのマイク、SONYのMDレコーダ、そしてSONYのヘッドフォンとSONY系の製品でまとめているのはたまたまで、SONYの手のものではありません。


PCへの取り込み
 録音が終わると、MDレコーダで音源にタイトルを入力します。タイトルは後々、音源の整理に必要です。整理は録音後すぐなら記憶も定かで容易ですが、時間がたつと全て忘れ去ってしまうので、早目が肝心です。特にHiMDの場合、PCへの取り込み時にこのタイトルを使うので、タイトル名をつけないとすご〜く面倒な事態になります。MZ-RH10は時計を内蔵していないので、録音時間でファイルを区別することもできません(これはちょっと困っています。この後に発売されたMZ-RH1では時計内蔵だけど、外部電池をつけられず、専用電池はちょっと高い)。
 MZ-R50はデジタル出力に対応していないので、PCに取り込む際は、アナログ音声で再生して、それをパソコン側でもう一度ADコンバータ経由で取り込む必要があります。一番安く済ますなら、MDのLINE OUTもしくはヘッドフォン端子からのアナログ出力をPCのマイク端子やLINE IN端子に繋いで、PC側で録音し直すという手段があります。
 左がヘッドフォン端子、右がマイク端子
 このやり方ではPC内部で渦巻いているノイズが録音に入ってしまうと嫌う人もいますが、一応それなりに取り込むことができるので最初の頃はずっとこの方法を使っていました。ただPC側のインターフェースがモノラルのみの場合には、せっかくのステレオ録音を生かせません。
 その後、USBオーディオインターフェースといわれるAD/DAコンバータ(買ったのはRoland社(Edirol)のAudio Captrue UA-3という製品)を使ってみました。これならPCにステレオで取り込むことができます。またノイズもほとんど入りません。
 USBオーディオインターフェース UA-3
 このUA-3は、(使ったことはありませんが)デジタル入出力にも対応しています。MDで再生しながら、同時にPC側で適当な音声エディタを使って録音をしていけば、PCへの取り込みはばっちりです。私の場合、音声エディタとして、昔SoundBlaster(いにしえの有名な音源ボードです)のおまけでついてきたCTWAVE32というソフトを使っています。アナログ接続する場合のMDとインターフェースは写真のようになります。
 MD+USBインターフェース
 HiMDなら本体をUSB接続で直接PCに接続できます。
 MZ-RH10から直接USBへ
 取り込みはMZ-RH10に付属していたソフト(SonicStage)で自動的にしてくれます。同時にWAVファイルに変換してくれますので、後で音声エディタでそのWAVファイルをいじることができます。PCにHiMDを1枚まるまる転送するのにはちょっと時間がかかります。またファイルも結構大きくなるので、外付けHDDを使っています。
 取り込んだwavファイルからMP3ファイルを作成する作業は
 ・音声エディタでwavファイルの必要なところを切り取ったり、音の大きさを変える(「CTWAVE32」使用)
 ・ハイパスフィルタを通して、ごく低音(風音などのノイズが入っている)を消す(「Goldwave使用」)
 ・もう一度音声エディタでフェードアウトなどの加工(「CTWAVE32」使用)
 ・mp3ファイルに変換(「午後のこ〜だ」使用)
 ・mp3のタグに録音場所等の情報を書き込んでおく(「EMIT」使用)
 ・mp3の音量の調整(「MP3Gain」使用)
これで完成です。参考までに()内に私が使っているプログラム名(全部Windows用です)を書いておきます。別に他のソフトでかまいません。


 HiMDにしてからPCへの取り込みがずっと楽になりました。PCに転送した後も録音済みHiMDが残るので保存に使えます(でもいつまでMDの再生ができるのかは不安です)。




 2006.6.18 FIFA World Cup 2006 日本-クロアチア戦の夜に作成開始。
 2006.6.24 決勝トーナメント開始前日に一応完成。
 2006.8.5 多少修正
 2007.5.6 R-09追加
 2008.3.30 Olympus LS-10追加
 2009.5.18 PCMレコーダ用に多少修正
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